「息子とデート」という表現はなぜ生まれた?そこには『日本の子育ての闇』が深く関わっていた!?
2021/08/11

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今年5月、「ママと息子の初めてのお泊まりデート」をうたったホテルの宿泊プランが、SNS上で批判を浴びた後、削除されることがありました。しかし、その問題点を考えると、プランに限った話ではないことが見えてきました。

息子は母親の「小さな彼氏」――? CMやSNSで身近に見かける「子どもとデート」という表現。「母と息子の、時に甘美で重苦しい関係が、日本社会の骨組みをかたち作っている」。著書でそう指摘した社会学者・品田知美さんが母と息子の距離感や危うさについて語りました。今回は、その要点をまとめていきます。

「父と娘」ならどうだった?

ツイッターでも、仮にこれが父と娘だったら明らかにまずいのではという声がありました。父と娘でダメなら、母と息子もまずいのではないでしょうか。 今の時代、ある意味で女性が強くなっています。堂々と仕事をして「ママについてこい」という感じで…。このまま進めば父娘関係にありがちだった、親がいばっている上下関係が今度は母・息子関係で行われてしまい、ただ逆になって時代が戻っただけになってしまうかもしれません。

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「息子とデート」というと、昔のいばっている親に比べると、一見平等に接しているように聞こえますが…。主体としてどっちが「デート」をしたいの?という話になると、それはもちろん母親でしょう。息子は断れないあるいは忖度(そんたく)せざるをえない状況ならば、その時点で平等な関係とは言えません。

息子以外、彼氏がいない?

SNSやCMで「息子=小さな彼氏」という捉え方がよくあります。それはきっと息子以外に「彼氏」がいないからでしょう。究極には夫を愛してないし愛されていない。夫と妻という関係になっていない。産後に環境が変化し、夫婦関係も変わってしまった。「愛されたい」という思いを、息子への「キュン」に置き換えてしまっているのかもしれません。

「自立の病」にかかる親

日本人は自分がどうしたいというより、周りからどう見られるかを気にしてしまっている部分があります。そのため、究極には「自立の病」なのです。親自身が自立していないと、子どものことは自立させられません。

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近年、多くの母親が息子と違い、娘についてはしっかり意見を持って、ちゃんと勉強して、と自立させようとする傾向があります。しかし、なぜか息子についてはなかなかそうしない親が多いのです。それがさらに次世代の男女のミスマッチや男女不平等を起こしてしまうかもしれません。

いちいち「デート」と言う理由は?

今回の宿泊プランに限らず、「息子とデート」のような文句をうたったCMはたくさんありますが、単に言葉の問題という批判もあります。

そもそもなぜデートと言ってしまうのでしょうか?それは特別感を出すワードだからです。 普通の日常になっていたら、問題視するようなことでもないでしょう。「デート」という語感には、他の人にアピールしたい感覚もあるのでしょう。

インスタでは「#息子とデート」で11万件以上投稿されています。タグを付けて投稿するときに、「子どもとお出かけ」よりも「息子とデート」の方がキラキラして見えるのです。「友達とランチ」より「女子会」の方がキラキラして見えるように。

恋愛・ペットに使っている言葉は…

最後に、社会学者・品田知美さんはこう話します。

「恋愛に使っている言葉やペットに使っている言葉を子どもに使うのは、両方とも気をつけた方がいいと思います。

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例えば「胸キュン」とかね。自分の付属物、アクセサリーにしない、自分の楽しみのために使ってはいけない、ということです。 あと、母が頼る先は、息子ではなくて、夫か自分だと強く念じていた方がいいと思います。 やっぱり自分は自分で自立するしかないかな。今の時期は、家族以外の人と遊ぶのも大変。それで余計に息子とべったりになるのかも。 コロナで疲労も限界になっていると思うので、少しでも自分の時間をとれることを願っています 」

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